「これですべてOKです。」という返事をうけとった瞬間、1年間だけだったけど共にブラジルの道を走り抜けた愛車との別れが現実となりました。
走行距離は、1年で約4万キロ。
サンパウロ州の田舎から、サンパウロ市へはもちろん、リオデジャネイロやロンドリーナ、クリチーバなど長距離を走りました。
そんな愛車を日本帰国にともない売ることにしました。
でも、海外で車を売るという一見シンプルな行為が、実はこんなにも複雑で感情的な経験だとは...。
言葉の壁、独特の商習慣、予想外のトラブル—日本では考えられないような経験の連続でした。
しかし、適切な準備と知識があれば、満足のいく条件で愛車との別れを迎えることができます。
この記事では、ブラジルで実際に車を売却した経験をお伝えします。
ブラジルで車を売ることになった理由
ブラジルでの生活も10年以上となり、帰国の話が突然出てきました。
そして家だけじゃなく愛車との別れを決断するときが来たのです。
多くの在ブラジル日本人が経験するこの状況、意外と複雑で知っておくべきことがたくさんあります。
「どうせ売るなら、できるだけ良い条件で」と考えるのは当然ですよね。
海外での車の売却は日本とはルールが違います。
でも、基本的に日本とそれほど変わりません。
この記事では、私自身が実際に経験した車の売却プロセスを、必要な書類から価格交渉のコツまで、具体的に紹介します。
ブラジルでの車の売却を考えている方の道しるべになれば幸いです。
ブラジルではどんな車が人気?日本車の評価と相場
ブラジルでは日本車の評価は総じて高いです。
特にトヨタ、ホンダ、日産などのブランドは「丈夫で長持ち」というイメージが定着しています。
ただし、モデルによって人気の差が激しいので注意が必要です。
人気のあるモデル:
- コンパクトSUV(特にホンダHR-VやトヨタRAV4)
- 燃費の良いセダン(カローラ、シビックなど)
逆に、ブラジルでは馴染みのない海外モデルや、部品の入手が難しいモデルは評価が下がる傾向にあります。
私の場合、FIATの車(7人乗り)はDODGEのOEM。
メキシコ工場で作っていたのもあり、部品も高くあまり人気じゃないです。
ただし、7人乗れる大きな車で当時では高級車だったようです。
相場については、同じモデルでも都市部(サンパウロ、リオデジャネイロ)と地方では大きく異なります。
都市部なら中古車サイトの「Webmotors」や「iCarros」で相場を調べると良いですね。
私の場合、買取できないと車屋さんに2件も言われましたが20万キロ走っていたのに高く売ることができました。
車を売る前に準備すること:必要な書類と車の状態チェック
車を売る前の準備は、売却価格と手続きのスムーズさに直結します。
車両売買必須の書類:
- 車検証(DUT - Documento Único de Transferência)スマホでも見れる
車両税(IPVA)の支払い証明書交通違反がないことの証明書(Nada Consta)- 自分の身分証明書(RNE)とCPF
車検証は以前、緑色の紙でした。
現在は、緑色の紙はなくなり、アプリでみたり、ネットでDLしてプリントアウトしてあります。
必要なのはCPFの番号と車のRenavanです。
この2つをDETRANのサイトに入力すれば、どこでも車の状態が確認できます。
税金は払っているかとか、違反はないかもわかります。
ですからIPVAの支払いや違反などの証明は、ネットで確認できるので不要でした。
車の状態チェック:
- エンジンオイルや各種フルードの交換
- タイヤの状態確認
- 小さな傷や凹みの修理
- 室内の清掃
- エアコンの動作確認
書類に不備があると売却手続きが止まってしまうので、二重チェックすることをお勧めします。
売る車屋さんによると思いますが、エンジン内部はほとんどチェックされませんでした。
実は、エンジンアラームも光っていたのに何も言われず。
検査場で車の検査
車を売買するときは、認定工場で車の検査をしなければいけません。
エンジンの番号や車体番号などチェックされます。
特に問題なく検査がおわったら、書類がもらえます。
公証役場で署名認証(Reconhecimento de firma em cartório)
この手続きの文書が本物ですよ!ってことを証明するためにcartorioで署名します。
ブラジルは印鑑制度がなく、サインで証明します。
ですから、ちゃんと本人が署名しました、という確認のため公証役場へいかなければいけません。
身分証明書、RNEやRJをもっていきます。
外国人が車を売るときの特別なルールと注意点
外国人がブラジルで車を売る場合、ブラジル人とは異なる手続きや注意点があります。
- CPFとRNEの有効期限確認(期限切れだと手続きできない)
- 公証役場での署名認証が必要な場合がある
- 税務上の影響(特に利益が出た場合の申告)
特に気をつけたいのは、外国人の場合、書類の翻訳や公証手続きに追加費用がかかることがあります。
これらの費用は事前に計算しておくことをお勧めします。
不安な場合は、ブラジル人の知人や専門家に相談するのが安心です。
車の売り方を選ぶ:お店に売る?個人売買?ネット販売?
車を売る方法は大きく分けて3つあります。
それぞれメリットとデメリットを比較してみます。
私は帰国がせまっていたのでディーラー(街の中古屋さん)で売却しました。
ディーラーへの売却
- メリット:手続きが簡単、即日で現金化可能
- デメリット:価格が個人売買より10-20%低くなる傾向
個人への直接売却
- メリット:最も高値で売れる可能性が高い
- デメリット:買い手探しに時間がかかる、詐欺のリスク
オンライン仲介サービス:
- メリット:広範囲に宣伝できる、比較的安全
- デメリット:手数料がかかる、対面での説明が必要
私の場合は時間に余裕がなかったので、まず中古車販売店にいきました。
3件目のお店にうりましたが、1件目と2件目ともその車は買わないといわれてしまいました。
売れなかった理由は、
- 高級車だけどお金持ちは新しい車をどんどん買っていくから売れない。
- 今は製造してないので部品が高い
- ガソリン専用で燃費も悪い
なかなかくせのある車でした。
ネットで車を売る場合は、MercadoLivreとOLXに載せます。
最終的には個人売買で売ることになります。
ディーラー以外は高く売れる可能性がありますが詐欺がよくあるので注意です。
満足できる価格で売るコツ:ブラジル式交渉術
ブラジルでの価格交渉は、日本とはかなり文化が異なります。
「言い値」で取引が成立することはほとんどありません。
- 最初の価格設定は相場より10-15%高めに設定する
- 車の特徴や長所を具体的に伝える(信頼性、低走行距離など)
- 整備記録や部品交換歴を開示する
- 値引き交渉を前提とした余裕を持たせる
- 「最終価格」を明確に伝える
最初から最低価格を提示すると、さらに値引きを求められることが多いです。
ですが私の場合、「35mil」といきなりの金額提示。
走行距離も20万キロこえていたし、アラームもでていたので仕方ないかなと思って承諾しました。
このやり取りも多分10分ぐらい。
早かったです。
交渉には、車の状態の良さや相場などアピールしたらいいと思います。
まあ相手はプロなのでこっちだけが徳をしたってことはないとおもいますけど。
私は、1件目2件目でこの車は引き取れないと言われていたので、結果的に良い条件で売ることができました。
お金のやり取りと契約:安全に取引する方法
ブラジルでの取引で最も注意すべき点は、金銭のやり取りです。
特に高額な車の取引では、詐欺や盗難のリスクがあります。
- 銀行振込を基本とする(現金の受け渡しは避ける)
- 契約書は必ず作成し、両者の署名を入れる
- 公証役場(Cartório)での手続きを行う
- 個人売買の場合、公共の場所で会うか、信頼できる知人の同席を求める
- 全額入金確認後に車と書類を引き渡す
私の場合、お店でしたのでその場で振込を確認しました。
お金の振り込みは、PIXです。
PIXで高額取引するのは初めてだったのでちょっと不安でしたが、35milをアプリを立ち上げてその場で確認しました。
今ではほとんどない小切手はありえないと思います。
とにかく確認できたらOKです。
売った後の手続き 名義変更と税金の処理
車を売却した後も、いくつかの重要な手続きが残っています。
これらを怠ると、将来的に大きなトラブルになる可能性があります。
- 買い手による名義変更の確認(30日以内が法律上の期限)
- 自動車保険の解約
- 銀行口座に登録されている自動車税支払い設定の解除
特に重要なのが名義変更の確認です。
ブラジルでは、買い手が名義変更を行わないまま交通違反や事故を起こした場合、元の所有者にも責任が及ぶことがあります。
私の車を買ったとき名義変更されていなくて、めんどうなことになりました。
その時の状況はこちらです。
名義変更が終わった連絡は、メールで届きます。
後は保険の解約ですね。
実際にあった車の売買で困ったこととその解決方法 トラブル例
車の売却過程では、予期せぬ問題が発生することもあります。
私自身が経験した問題とその解決策を紹介します。
- 名義変更:車両の名義変更がされていなかった。
- 解決策:車の検査、売買手続き、DETRANで更新手続き
- 買い手のキャンセル:契約直前に買い手が急にキャンセル
- 解決策:複数の候補者と並行して交渉を進めていたので、次の候補者に連絡
- 言語の問題:専門用語の理解が難しかった
- 解決策:ブラジル人の友人に同席してもらい、通訳を依頼
これらの経験から、「計画的に余裕を持って進める」「複数の選択肢を常に用意しておく」ことの重要性を痛感しました。
特に外国人の場合、言語の壁があるため、信頼できる現地の友人のサポートがあると安心です。
ブラジルで車を売る:まとめ
ブラジル国内を走り回った愛車との別れは、予想以上に感情的なものでした。
ブラジルの道を共に走った思い出の詰まった車。
しかし、新しい土地での新生活に向けて、この別れも必要なステップです。
車を手放した後は、移動手段がかわるのが問題でした。
私の場合は、Uberやメトロを利用しました。
サンパウロ市に引っ越ししていたので、歩きでも十分でした。
また、車の売却で得たお金は、引っ越し費用や新生活の準備資金に。
前向きに考えれば、車の売却は新しいスタートのための大切な準備だったと言えます。
最後に、ブラジルで車を売却する際の総合的なアドバイスとして、
「十分な時間的余裕を持つこと」
「信頼できる現地の知人のサポートを得ること」
「書類や手続きを徹底的に確認すること」の3点が特に重要です。
これらを意識すれば、スムーズな車の売却ができると思います。
ブラジルでの車の売買は信頼した人とやり取りするのがいいですね。
ブラジル人の友達も「中古車は知り合いからしか買わない!」といっていました。
新車が1番信頼できるかもしれません。